平成29年労働法関係の法規改正・判決等の情報
① 1月11日 神奈川労働局
三菱電機の違法残業を労働基準法違反で書類送検
三菱電機の違法残業を労働基準法違反で書類送検
② 東京地方裁判所平成29年1月28日判決
新会社に転籍後に解雇された男性が転籍無効を求めた裁判で,法律が定める事前協議が不充分で転籍は無効と判断
③ 津地方裁判所平成29年1月30日判決
ミスタードーナッツFC店長の死亡は過重な業務が原因の過労死だとして損害賠償を求めた裁判で,4600万円の支払いを認めた
④ 大阪地方裁判所平成29年2月3日 和解
介護施設で過酷な勤務を強制されたとして,フィリピン出身の男女10名が未払い賃金等を求めた裁判で,総額約1000万円の支払いを認める和解が成立
⑤ 長崎地方裁判所平成29年2月21日判決
NPO法人の理事長からセクハラを受けたとの裁判で女性2人に各50万円ずつの支払いと,男性1人に未払い賃金92万円の支払いが認められた
⑥ 最高裁判所第三小法廷平成29年2月28日判決・判タ1436号85頁,判時2335号90頁,労判1152号5頁
タクシー会社の歩合給で,残業分を差し引く賃金規則は一律無効とはいえないという判断を示した
タクシー会社の歩合給で,残業分を差し引く賃金規則は一律無効とはいえないという判断を示した
⑦ 3月3日 九州管区警察局
通信部係長の男性事務官に対し,パワハラを原因として減給1ヶ月の懲戒処分
⑧ 3月28日 政府
働き方改革の工程表を盛り込んだ実行計画をまとめた
⑨ 大分地方裁判所平成29年3月30日判決
プレナスの元店長の残業代などの請求に対し,約1000万円の支払いを認めた
⑩ 3月30日 関西電力
労働基準監督署に対し残業代2年間で1万2900人に約17億円の時間外賃金を払っていなかったと発表・報告した
⑪ 最高裁判所第一小法廷平成29年4月6日判決・民集第71巻4号637頁
じん肺と認めなかった国の決定を巡り遺族が取り消しを認められるかについて,遺族にも取り消し請求権があるとの判断を示し,高裁判決を破棄差し戻した
「じん肺管理区分が管理1に該当する旨の決定を受けた常時粉じん作業に従事する労働者又は常時粉じん作業に従事する労働者であった者が管理4に該当するとして提起した当該決定の取消訴訟の係属中に死亡した場合には,労働者災害補償保険法11条1項に規定する者が当該訴訟を承継する。」
⑫ 4月26日 真言宗大谷派
男性僧侶2人に660万円の残業未払いが公表された
⑬ 6月27日 八王子労働基準監督署
調布市の運送会社の社員が急性心筋梗塞で死亡したのは残業108時間の過労死が原因だとして労災認定
⑭ 7月6日 東京地方検察庁
電通を労働基準法違反で略式起訴
⑮ 最高裁判所第二小法廷平成29年7月7日判決・判タ1442号42頁
医師の残業代は高額年棒に含まれていないと判断
含まれているとした高裁判決を破棄,差し戻し
「医療法人と医師との間の雇用契約において時間外労働等に対する割増賃金を年俸に含める旨の合意がされていたとしても,当該年俸のうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分が明らかにされておらず,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができないという事情の下では,当該年俸の支払により,時間外労働等に対する割増賃金が支払われたということはできない。 」
⑯ 7月12日 東京簡易裁判所
電通の労働基準法違反事件につき略式不相当の判断 正式裁判へ
⑰ 7月26日 厚労省
ストレスチェック制度の実施状況を公表
⑱ 8月9日 品川労働基準監督署
自殺の勤務医労災認定 時間外労働月173時間
⑲ 8月9日 厚労省
2016年度に支払われた残業未払い代127億円(前年度27%増)と発表
⑳ 8月10日 船橋労働基準監督署
東京ディズニーランドの着ぐるみを着ていた契約社員の左腕激痛に労災認定
㉑ 8月23日 東京都労働委員会
引越会社に対し,組合に加入した社員を営業職から単純作業のシュレッダー係に配置転換したのは,組合員であることを理由とした不利益な取扱で,不当労働行為と認める救済命令を出した
㉒ 8月24日 長野労働基準監督署
運送会社の運転手が急性大動脈解離で死亡したのは,死亡前1ヶ月間の時間外労働が114時間の残業で労災認定
㉓ 9月7日 国立循環器研究センター
残業月300時間可の労使協定を結んでいることが発覚
労使で見直す方向
㉔ 9月8日 厚労省
労働政策審議会の分科会にて働き方改革関連法案の要綱を示す
㉕ 東京地方裁判所平成29年9月14日判決・労判1164号5頁 日本郵便(時給制契約社員ら)事件
日本郵便の契約社員が正社員との格差解消を求めた裁判で,一部の格差を不合理と判断
㉖ 9月20日 福岡労働局
ヤマトを労働基準法違反(違法残業)で福岡地検に書類送検
ヤマトを労働基準法違反(違法残業)で福岡地検に書類送検
㉗ 9月22日 日本建設業連合会
働き方改革の推進策を発表
㉘ 9月22日 東京簡易裁判所
電通事件初公判 会社の2割近い1400人前後が毎月残業 求刑罰金50万円
㉙ 大阪高等裁判所平成29年9月30日判決
パワハラで自殺した社員の労災不支給を取り消した
㉚ 10月2日 厚労省
石綿被害の2300人に国賠訴訟促す通知
㉛ 東京簡易裁判所平成29年10月6日判決(刑事)
電通事件判決 罰金50万円
電通事件判決 罰金50万円
㉜ 10月6日 新宿労働基準監督署
新国立競技場の建設工事に従事していた現場監督の自殺が極度の長時間労働による精神疾患が自殺の原因として労災認定
㉝ 大阪地方裁判所平成29年10月16日 和解
システム開発会社が過労自殺を認め謝罪 和解
㉞ 東京高等裁判所平成29年10月18日判決
医療機器メーカー パワハラを受けて退職を強いられたとして660万円の損害賠償を認める
医療機器メーカー パワハラを受けて退職を強いられたとして660万円の損害賠償を認める
㉟ 大阪地方裁判所平成29年10月23日判決
航空会社 日本人元社員の解雇無効判決
㊱ 東京高等裁判所平成29年10月27日判決
建設アスベスト訴訟 国とメーカー4社の責任を認め,623人に計約3億7000万円の支払いを認める
㊲ 11月9日 春日部労働基準監督署
観光バス会社の運転手 精神疾患発症は長時間労働が原因だとして労災認定
㊳ 11月28日 電通
未払い残業代総額約23億円を支給する
㊴ 12月25日 東京労働局等
野村不動産に裁量労働制について違法適用の是正勧告
この記事を担当した弁護士
弁護士法人ユスティティア 代表弁護士
森本 精一
保有資格弁護士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
専門分野企業法務、債務整理、離婚、交通事故、相続
経歴
昭和60年3月 | 中央大学法学部法律学科卒業 (渥美東洋ゼミ・中央大学真法会) |
昭和63年10月 | 司法試験合格 |
平成元年4月 | 最高裁判所司法修習生採用(43期司法修習生) |
平成3年4月 | 弁護士登録(東京弁護士会登録) |
平成6年11月 | 長崎県弁護士会へ登録換 開業 森本精一法律事務所開設 |
平成13年10月 | CFP(ファイナンシャルプランナー上級)資格取得 |
平成14年4月 | 1級ファイナンシャル・プランニング技能士取得 |
平成25年1月 | 弁護士法人ユスティティア設立 |