取引先の企業に契約を突然打ち切られたため、設計契約料相当の損害賠償を請求した事例
相談内容
X会社はY会社より、ある土地に新しく建築する建物の設計をするよう依頼を受けました。しかし、最終的に工事請負代金が折り合わず、Y会社は正当な理由もないまま交渉を打ち切りました。設計は完了していたので、Y会社に設計料の支払いを求めましたが、それに応じなかったため、X会社は弁護士に相談し設計料を請求する訴訟を提起しました。Y会社は、X会社に設計から工事までを一括で請け負ってもらう契約をしていたと主張し、逆にX会社が契約を途中で破棄しているので(工事まで行っていないので),損害賠償を支払うべきだと反訴を提起しました。
争点
①どちらの会社が契約交渉を不当に破棄・破綻させたか
②請負契約と施工契約は別々の契約か,設計施工一括請負契約か
③過失相殺
弁護士の提案内容
まず、締結直前まで進んだのは設計契約のみであったことを主張しました。また、すでに金額合意ができており、支払時期についての微調整段階に入った段階で、施工契約締結のための正確な見積もりを計算するために、設計図の完成や建築確認申請のための準備作業を強制されていたことからX会社には作業成果が存在すると主張しました。
結果
契約締結に至る準備段階での過失で,Y会社の過失が認められた反面,Y会社の反訴請求は認められず、X会社の損害金の一部が認められました。
弁護士の所感
契約締結上の過失は,実務でしばしば問題になる難しい問題です。
契約締結上の過失とは、契約締結の段階またはその準備段階における契約締結を目指す一方当事者の過失のことで、契約内容に関する重要な事項について調査・告知しなかったり、相手方の合理的期待を裏切るような行為をすることにより、不測の損害を被った相手方を救済するための法理論です。
この責任の性質は,不法行為責任であるとされるため,過失相殺の適用がありえます。
本件では,一審でXが請求できるのは4割とされたのに対し,控訴審では6割と変更になっています。
昭和60年3月 | 中央大学法学部法律学科卒業 (渥美東洋ゼミ・中央大学真法会) |
昭和63年10月 | 司法試験合格 |
平成元年4月 | 最高裁判所司法修習生採用(43期司法修習生) |
平成3年4月 | 弁護士登録(東京弁護士会登録) |
平成6年11月 | 長崎県弁護士会へ登録換 開業 森本精一法律事務所開設 |
平成13年10月 | CFP(ファイナンシャルプランナー上級)資格取得 |
平成14年4月 | 1級ファイナンシャル・プランニング技能士取得 |
平成25年1月 | 弁護士法人ユスティティア設立 |