妻であるPさんの方に不貞があったが訴訟で離婚できた事例
(事案)
Pさんと夫は,20年以上の婚姻歴があり,2人の間の子どもも皆成人しています。Pさんは,夫からの性的な要求を負担に感じており,日常的に粗暴な言動をする夫に対する愛情は薄れていました。
Pさんは,仕事関係で知り合った男性と交際するようになりました。しばらくして,Pさんの夫に,男性との交際が知られてしまい,Pさんは,夫に謝り,しばらく夫との生活を続けました。しかし,Pさんと夫とは,頻繁に喧嘩をし,夫がたまにしか家に帰ってこなくなりました。
子ども達もPさんの味方だったので,夫が家を出て行くことになりました。その後,夫は,男性を相手に裁判を起こし,交際していた男性が慰謝料を支払いました。
そして,夫からPさんに対し,離婚調停が起こされました。夫は,Pさんの不貞についての慰謝料とPさんから家出に追い込まれたので,家出までの間のPさんから受けた行為に対し高額な慰謝料を請求して来ました。Pさんは,すぐに弁護士に相談に来られました。
(弁護士の関わり)
弁護士は,Pさんの代理人となって,離婚調停の申立をしました。調停では,夫からの金銭の要求が高額にすぎたので,話合いにはなりませんでした。
調停が不成立になった後,夫が離婚訴訟を提起してきました。
弁護士は,Pさんの不貞についての慰謝料は,交際相手だった男性が既に支払済みであることを述べるとともに,夫が家を出るまでの間にPさんが嫌がらせ行為などしていないことを主張していきました。
結果として,裁判では,夫からPさんに対する慰謝料請求は認められませんでした。
訴訟では,裁判官の前で,Pさん,夫の双方が質問を受ける機会もあり,解決まで長い期間がかかりましたが,Pさんも満足のいく結果となりました。
補足
離婚慰謝料は,浮気した夫婦の一方と浮気相手の第三者が他方配偶者に対して,一緒に暴力をふるったのと同じ関係にあり,片方がお金を支払うと,もう片方の責任は減るという関係にあります。
法律上は,不真正連帯債務といわれている関係です。したがって,浮気相手の第三者が既に高額の慰謝料を支払済みの場合は,責任がないという主張をすることがあります。
この記事を担当した弁護士
弁護士法人ユスティティア 代表弁護士
森本 精一
保有資格弁護士、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
専門分野企業法務、債務整理、離婚、交通事故、相続
経歴
昭和60年3月 | 中央大学法学部法律学科卒業 (渥美東洋ゼミ・中央大学真法会) |
昭和63年10月 | 司法試験合格 |
平成元年4月 | 最高裁判所司法修習生採用(43期司法修習生) |
平成3年4月 | 弁護士登録(東京弁護士会登録) |
平成6年11月 | 長崎県弁護士会へ登録換 開業 森本精一法律事務所開設 |
平成13年10月 | CFP(ファイナンシャルプランナー上級)資格取得 |
平成14年4月 | 1級ファイナンシャル・プランニング技能士取得 |
平成25年1月 | 弁護士法人ユスティティア設立 |