自己株式の取得-相続した株主との合意に基づく場合
Q 特定の株主から株(非上場株式です)を相続した相続人から買ってくれという申し入れがあります。
会社(譲渡制限のある会社です)で購入しようと思いますが,何か問題がありますか。
A 非公開会社における,相続人の場合は,売主追加請求権はありません(会社法162条により,160条2項,3項を排除)ので,財源規制だけが問題となります。
この場合,
「自己株式の取得」は,自己株式を取得する日における会社の分配可能額の範囲内でのみ行うことができます(会社法461条1項2号)。
分配可能額は,剰余金の額に,法律が定める一定の項目を加算・減算して算出した金額です(会社法461条2項)。したがって,この金額を越えて,自己株式を取得することはできません。
会社によっては,この分配可能額が存在しないということもあります。
そのときには,「減資手続」を行って分配可能額を増やす必要があります(会社法447条)。
具体的には,資本金や資本準備金を,その他資本剰余金に振り替えることによって,剰余金を確保し,「分配可能額」を作る方法です。
ただし,この減資手続は,会社債権者を害するおそれのある手続であることから,会社法に定められた債権者保護手続をふむ必要があります。
詳しくは弁護士にご相談下さい。
また,税務や会計上の問題については,税理士にご相談下さい。