過払い金とは
過払い金とは、貸金業者が利息制限法の上限を超えて取り続けていた利息のことをいいます。この利息は本来支払うべき金額以上のお金なので、一定以上の条件をクリアすれば債務者は債権者に差額分を返還してもらうことができます。
法律的には、貸金業者らから利息制限法を超える約定利率で借り入れをしている場合に、返済金を利息制限法で定める法定利率に基づいて利息及び元本へ充当した結果算出される、本来支払うべき義務のない過剰な支払分のことをいいます。
グレーゾーン金利
民事上無効な金利 刑事罰がある 民事上無効な金利 刑事罰はない 民事上有効な金利 |
刑罰金利 |
年29.2% 年20% (元本10万円未満) 年18%(元本10万円 ~100万円未満) 年15% (元本100万円以上) |
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グレーゾーン金利 |
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0円 10万円 100万円
出資法に違反する金利は刑事罰に違反する金利で、返還請求ができます。
昭和58年10月30日以前 年109.5パーセント
昭和58年11月1日以降 年73パーセント
昭和61年11月1日以降 年54.75パーセント
平成3年11月1日以降 年40.004パーセント
平成12年6月1日以降 年29.2パーセント
平成22年6月18日以降 年20パーセント
利息制限法の金利を超えるけれども、出資法に違反しない部分がグレーゾーン金利で、貸金業法43条1項のみなし弁済の要件を満たせば、約定金利を徴収できますが、その要件を満たさない場合は、返還請求ができます。
貸金業法43条1項のみなし弁済規定は、平成22年6月18日に廃止されました。
その要件は、
① 消費貸借契約(利息・損害金契約)の締結の時に貸主が貸金業者であること
② 業として行う金銭消費貸借上の利息又は損害金の契約に基づく支払いであること
③ 利息制限法に定める制限額を超える金銭を,ⅰ債務者が,ⅱ利息又は損害金と指定して,ⅲ任意に,ⅳ支払ったこと
④ 法17条の規定により法定の契約書面を交付している者に対する支払であること
⑤ 法18条の規定により法定の受取証書を交付した場合における支払いであること
でした。
しかし、最高裁第二小法廷平成18年1月13日判決・民集60巻1号1頁,判時1926号17頁,判タ1205号99頁,金商1233号10頁,1243号20頁は、グレーゾーンでの貸付けに対する返済に関して、「支払いを遅滞したときには,期限の利益を喪失する」旨の特約があった場合には、債務者が利息として、利息の制限額を超える額の金銭を支払ったとしても、特段の事情がない限り、債務者が自己の自由な意思によって制限超過部分を支払ったものとはいえないと判断しました。この期限の利益喪失特約は、一括弁済特約などとも呼ばれ、同種の特約は貸金業界では一般的なものであったため、みなし弁済の要件を満たすことはほぼなくなったといえる状況にあります。
過払い金返還請求ができる人
借入期間が5年以上、かつ金利が18%を超える方は過払い金の返還請求ができる可能性が高いです。
過払い金返還請求のメリット・デメリット
メリット
・債権者に払いすぎたお金を取り戻すことができます。その結果経済的更生に資することになりますし、ほかに債務がある場合の返済資源にもなります。
・ブラックリスト(信用情報)などには掲載されません(平成22年4月19日以降の取り扱いです)。
デメリット
・過払い金返還請求は、裁判になることが多く、回収するまでに時間を要します。
弁護士に頼むメリット
・煩雑な手続きは弁護士が対応しますので、時間を取られることはほとんどありません。
・当事務所所属の弁護士は貸金業者との交渉経験が豊富なので、依頼者個人で交渉をするよりもより良い条件を勝ち取ることができます。
過払い金返還請求の流れ
① 契約後その日のうちに債権者に受任通知書を発送
→委任契約を締結後、速やかに受任通知を各債権者へ送付します。この通知により各債権者からの取立、督促はストップします。
② 債権の調査
→これまでの取引履歴を取り寄せます。開示された取引履歴をもとに利息制限法に基づき引き直し計算をし、債務額を確定します。
③ 債権の確定(利息制限法で引き直した借金の額を計算しなおします)
④ 引きなおし計算をし、過払い金が発生していた場合は請求開始
→計算によって算出した金額をもとに貸金業者に対して返還請求をし、返還金額、返還期日について話し合いをしていきます。
⑤ 交渉、和解
→和解成立後、当事務所と貸金業者双方にて和解契約書を作成します。
⑥ 過払い金の返還
→和解で定まった期日までにサラ金から入金がなされ、弁護士費用等の清算をして、お客様へ返還します。
⑦ まとまらないときは過払い金返還請求訴訟を起こし、裁判になります。
裁判をして過払い金を回収する場合
業者によっては、取引当初からの明細を出さなかったり、過払い金の返還をかなり先の期日に支払うとか、少額しか支払わないとか提案してくる場合があります。 そのような時は、過払い金返還請求訴訟(正式には、不当利得返還請求訴訟)を起こし、裁判で争うことになります。
① 契約後その日のうちに債権者に受任通知書を発送
→委任契約を締結後、速やかに受任通知を各債権者へ送付します。この通知により各債権者からの取立、督促はストップします。
② 債権の調査
→これまでの取引履歴を取り寄せます。開示された取引履歴をもとに利息制限法に基づき引き直し計算をし、債務額を確定します。
③ 債権の確定(利息制限法で引き直した借金の額を計算しなおします)
④ 訴訟提起
→訴状提出日から1~2ヶ月後に第1回口頭弁論期日が設けられます。双方の主張・反論を複数回行い、一通り出尽くしたら裁判所が最終的に判断します。訴訟上あるいは訴訟外で和解することもあります。
⑤ 判決・和解調書合意書の作成
→和解に至らなかった場合は、裁判所が判決を下します。訴訟外で和解が成立した場合は、和解契約書を作成し、入金を確認してから訴訟を取り下げます。
⑥ 過払い金の返還
→指定口座に入金されれば、弁護士費用等の清算をして、お客様へ返還します。
過払い金返還請求の心
当事務所の過払金返還請求に関する考え方は次のとおりです。
(1) 債務者の更生
苦労して支払ってきたお金を取り返して、これからの生活を立て直す借金の整理方法の一つであると位置づけられます。
(2) 破産を可及的に減らすことができます。
利息制限法の引き直し計算で債務が可及的に減るばかりか、過払金を取り返して、残債が残る業者に支払うことで破産を避けることが可能になります。
したがって、過払い金返還は貸金業者からはき出すだけはき出させるべきであると考えます。
(3) 弁護士の報酬の捻出
多重債務者で弁護士の費用も捻出できない人が、サラ金から返ってくるお金で弁護士費用を捻出することができます。
(4) サラ金に注意
倒産するサラ金業者も出てきましたが、もともとサラ金は違法な業務執行をして行政処分を課せられていたりした業者が多いのです。各業者に対する業務停止事例からも明らかです。
(5) サラ金業者のウソに騙されないように徹底的に闘います。
① サラ金業者は、履歴を抹消していないのに、抹消したとウソをつくことがあります。
弁護士も裁判官も騙されます。過払金返還を免れるためです。
② サラ金業者は、財産はあるのに、財産を隠して、過払金を払えないと言ってウソをつくことがあります。サラ金に対し債権者破産を申立てても、支払い不能と裁判所は認めなかったり、強制執行後の財産開示をすると支払をするサラ金業者がいることからも明らかです。これも過払金返還を免れるためです。
(6) 過払い返還請求に対する逆風
弁護士・司法書士に対する税務調査上の申告漏れ事案の多くが過払い返還請求をやっている事務所でした。また、全国展開の過払い専門訴訟事務所がでてきたりし、トラブル事例が多発したりしたため、過払金返還請求事件について逆風が吹いているようにも思われます。
最高裁の判決も利息制限法の潜脱を許さないという姿勢から過払金返還請求訴訟に冷たくなったかのようにも見受けられます。サラ金業者が倒産しているという現実もあります。貸金業の改正により歴史的な事件となりつつあることは疑いようがありません。
過払い金返還請求の費用(税別)
着手金2万円(税別)
報酬
交渉のみにて解決した場合 10パーセント(税別)
裁判にて解決した場合 20パーセント(税別)
過払い金返還請求依頼者の声
毎月高い利息を返済しているので、元本が一向に減らず、夫婦ともに疲弊していました。過払い金返還請求についてネットで知り、先生に相談したところ、120万ほどあった借金がなくなり、更に過払い金が200万ほど戻ってきました。
今では生活にもゆとりが生まれ、穏やかな生活を送れています。