不動産の売買は取引額が高額であるため、トラブルが生じると深刻な問題になりやすく、慎重に契約を結ぶ必要があります。不動産取引にあたっては、周到な準備と調査、法律知識が必要となります。
不動産の取引の場合、契約書を作成するのが一般的ですが、契約書を作成するといっても、どの点に注意しなければならないのか、ポイントがわからないというケースが多いと思います。ここでは、簡単に不動産の売買契約の際に注意してもらいたいポイントに関して掲載致します。
①現地の確認(現地調査・欠陥(瑕疵)の確認)
物件を購入したにも関わらず、既に購入した物件が賃貸されてしまっていて使用できないといったケースもあります。まずは、現地に赴き、賃貸がされていないか、問題がない物件かどうか、ご自身で直接調査しましょう。
また、購入した建物に欠陥(瑕疵)があるかどうかの確認も重要です。平成11年6月23日に制定された、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵担保責任を、建物の完成引渡から10年間請求できるようになりました。土地と共に建物の確認も入念に行いましょう。また、土地と道路との関係も現地を見て確認しておくことが必要です。
②登記簿の確認
甲区欄に物件の所有者が明記されていますので、まずは売主を確認しましょう。売主がその不動産を所有していたとしても、他の共有者がいる可能性もあります。乙区欄をみると、抵当権などの制限物権が設定されている可能性があります。抵当権などの制限物権は売買取引日までに抹消してもらう必要がありますので、登記簿で確認をしましょう。
③重要事項説明の確認
不動産は、多くの場合、宅地建物取引業者(宅建業者)から購入しますが、購入する場合、宅建業者の側で、その不動産に関する法定事項(権利の種類や内容等)といった重要事項説明が必要とされています。土地に関しては、都市計画法、建築基準法、農地法などの規制があり、土地を買っても思うように利用できないこともあります。この重要事項の説明の際に、宅建業者の説明が間違っている場合には、購入を取り消すことが可能となる場合がありますので、しっかりと確認をしましょう。
また、宅建業者が重要な事項について故意に事実を告げなかったりした場合には業法上刑事責任が生じる場合があります。
④用途地域の確認
土地には、都市計画法上の用途地域が決められており、用途地域は、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるものとなります。用途地域は、都市計画図で確認することができます。諫早市の場合には、諫早市のホームページでご覧になることができます。
⑤申込証拠金や手付の支払いに関する確認
不動産は高額であり、重要性が高いため、売買契約が安易に解約できないように、申込証拠金や手付金が設定されています。申込証拠金は、購入希望者から販売業者に対し交付することのある金銭のことをさします。これは、購入者の意思確認を行うためだと考えるケースが多いです。
手付金ですが、解約手付として使用されるケースが多く、契約を安易に解約できないようにしており、解約する場合には、手付金を支払うことで、解約を了承することになります。
⑥農地の売買について
農地の売買で、買主がその農地を農地のまま使用する場合には、農地法3条により農業委員会または都道府県知事の許可が必要です。
これに対し、買主が農地を農地以外に転用して使用する場合は,農地法5条による許可が必要となります。
このように農地の売買の場合には、農業委員会などの許可を条件とすることが必要で、許可がなされなかった場合の解除条項も入れておく必要があります。
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上記のように、不動産売買契約を結ぶ際には、不動産の権利に関して、十分な説明を受ける必要があります。不動産業者や仲介業者はそれらの説明義務がありますので、法的な知識を持たない一般の方でも納得のいくまで説明を求めるべきです。
弁護士に依頼をすることで、売買契約書の作成から契約時の注意点、手続きの進め方に関してアドバイスをさせていただきます。また、実際の法律の専門知識を用いて面倒な手続きを代理で行うことができます。弁護士が立会人として取引に関与することも可能です。
取引に際しては、仲介業者の作成した契約書をそのまま受け入れるだけでなく、弁護士による事前の入念なチェックをすることをお勧めいたします。
特に、中古物件を現状有姿で購入する場合、売主に瑕疵担保責任を追及することができないなど買い主に不利な条項が定められている場合もあるので注意が必要です。
弁護士法人ユスティティア森本綜合法律事務所は不動産問題を数多く経験した弁護士がおりますので、それぞれの状況に応じた対策を採ることが可能です。